関内駅直結シェアオフィス | G Innovation Hub YOKOHAMA
Culture
“G”の文化

G Project

whyG?1章 趣味=仕事 ワーカホリックってどうなの? ~仕事に対する考え方~

2020.06.11

朝6時から、夜は終電まで、Gの日常。

G Innovation Hub Yokohama(以下Gという)のある日の風景だ。

朝6時、一番早い人はこの時間にGに来る。個人情報を扱う仕事のため、だれもいないこの時間はまず仕事にとりかかる。9時近くなり人が集まり出すと、自身の勉強に切り替える。そして、10時前に職場に向かうのが彼のスタイルだ。
コンサルティング関係の仕事をしている人は、日中は営業や顧客先に出向き、Gにくるのは夕方か夜。事務作業やデスクワークを集中的に行っている。

深夜、Gの室内灯が、尾上町の交差点の上で煌々と光るときも。締め切りに追われる夜、仕事に夢中で気づいたら深夜になっていた夜、入居者同士話が盛り上がった夜、それぞれの時間がある。

全国で観光業に携わる入居者の仕事スタイルもまた独特だ。平日は主に全国各地に出張、Gを利用するのは土日。そんなとき誰かが仕事をしていると、「今日来ているのは自分だけじゃないんだ」と元気をもらえるのだとか。

また暮らしと仕事の感覚が近いGでは、休日にちょっとだけ仕事をしに来たパパを待つ子どもの姿も。普段ミーティングやブレストに使っているホワイトボードが、このときばかりは子どもの遊び場に変身する。月曜出勤したときに、消し忘れた子供の絵が残っているとほんわかした気持ちになる。

自分で決めた時間の使い方で仕事ができ、またコーヒーやアルコールとの関係が深いのもGならではの魅力である。

日中利用する入居者は、だれかが声をかけるわけでもないが、午後4時前後になると、なんとなくキッチンに人が集まりだす。こだわりの機器を使い丁寧にコーヒーを淹れる時間は、しばしのブレイクタイム。そこでは仕事だったり、家庭だったり、趣味だったりの会話が繰り広げられる。長すぎず、それぞれに自分のタイミングでブースに帰っていく。

また朝キッチンに直行する人は、ビールを冷蔵庫にスタンバイしていることが多い。仕事終わりにその場で乾杯するためだ。居合わせた人も参加し、なんとなく飲み会がスタートするのもGならでは。Gの冷蔵庫は、ビール、ワイン、カクテルと入居者のアルコールがたくさん並ぶ。

ときには、夕方5時のハッピーアワーを狙って関内に街に繰り出し、7時には戻ってまた仕事をする人もいる。入居者同志、飲みに行くこともしばしば。「関内は店が多くて開拓しきれない」と、皆が口をそろえる。

 

朝から夜まで、働くスタイルは人それぞれ。

自分のペースで働く反面、仕事に割く時間は比較的長い気がする。
しかし、「働かされている感」や「疲労感」を見せない。イライラしていると感じる人もいない。入居者のメンタルを表すような、穏やかでゆるやかな時間が流れている。きっと心の余裕があるのだろう。
生き方、やりたい仕事が明確にあるから、嫌なことは自然と排除できているのかもしれない。仕事を心から楽しんでいるのがわかる。

しかも、仕事のオンオフも明確にもっている感じもなく、「休みの日に買い物をしていても陳列をみながら、新たな商売を考えている」「デザインのインプットに美術館に行く」「新たなお金の稼ぎ方を考えているのが楽しい」というように、自然と暮らしに仕事が入り込んでいるんだなと感じる。
仕事への向き合い方は実に楽しそうで、そして丁寧なのだ。

この働き方、「ワーカホリック」だと表現されてしまうかもしれない。
「ワーカホリック」は仕事中毒ともいわれるが、「仕事」と「暮らし」の感覚が近い入居者は、“仕事のみ”に充実感を感じているわけでなく、逆に「仕事をしていないと不安」といった感覚もないのだ。

まさに今、在宅勤務時間が増え、暮らしと仕事の境目があいまいになり、みな同じように働く時間を揃えて仕事するのが難しくなっている。とくに働き方に関しては、単身世帯、子育て世帯、在宅介護の家庭など、それぞれの家族構成の違いもあり、働くスタイルをみな同じように決めきってしまうのは困難だろう。

 

何屋かわからない、個性豊かなビジネスの形。

「働く」ということを「勤務時間」という枠でしか括ろうとしてこなかった時代は終焉を迎えつつある。では次に見据えなければいけないものは何だろうか?私はそれが「個」に思えてならない。「個」とは、起業する人や個人事業主をだけを意味するわけではなく、業務委託や会社員であっても、「個」を持って自分らしく働ける時代が来ている。

これまでは、自分自身と雇用する1社のとの関係だったが、個として働き出せば自分自身と複数の会社との関係になってくる。また、ライフステージにあわせて、会社員、個人事業主、仕事と副業など、変えていくことも可能だ。こうなると会社も社内のリソースで事業を作り上げるだけでなく、外部の人の活用も考え出すようになるだろう。

つまり、みなで働き方を揃える必要がなくなった場合、次は個の部分を掘り下げることが必要になる。言い換えるなら自分の強み探しだ。その過程で生まれる真剣に自分の仕事と向き合い夢中で取り組む姿が、ワーカホリックと言われることではないだろうか?タイミングはそれぞれでもあっても、誰でも通る道なのかもしれない。

Gの入居者は明確な個性と目的をもって入居し、自分にしかない職業を生み出している。

たとえば、プロダクトやロゴのデザイナー。
デザインの依頼であっても、「その会社の企業や理念は何か?」、「どんな思いで開発されたのか?」、「今回の目的は何なのか?」、「何を消費者に届けたいのか?」を深く深く根本まで探っていく。それはまさにコンサルタントのような仕事だが、「そこまで落とし込まなければ良い商品は作れない」というのが彼の仕事の流儀だ。

また、マーケターであっても、あらゆる媒体を幅広く網羅するわけではなく、webでのあらゆる数字を改善する部分に特化することで、その人にしか頼めない仕事を生み出している人もいる。黎明期からパソコンを使っていた自分の強みを最大限に活かしている。

そしてGには中小企業診断士が3名いるが、それぞれ違う仕事をしているのも、魅力的だ。
一人は経営相談や、講師として活躍。COVID19でもいち早く助成金の情報を入居者に共有してくれた。
行政と民間企業の橋渡しの役割を担い活躍する人は、自前で稼げる手段をもつ新しい公的機関誕生に奔走している。
またプロダクトデザイナーとして活躍しながら、中小企業診断士の資格を持つ入居者は、今注目されているデザイン思考という観点から、企業のコンサルタントや、大学講師として活躍している。

 

0章でも話したが、Gでは、多種多様な職業、年代の人が同じ空間で働いている。どんな個性も受け入れる包容力があるから、自分の考えや価値観がしっかりと現れている。個が尊重されるコミュニティは、ワーカホリックとは言われない。暮らしや生き方に仕事が溶け込み、仕事が生き方そのものになっている。

 

Edited by G Innovation Hub Yokohamaスタッフ 小室真知子

神奈川県出身、神奈川県育ち。強い地域愛がある中で、神奈川県内のローカルメディア記者を20年務め活躍。2019年8月よりGの運営に参画。子育てをする2児の母でありながら、時代の変化と共に自らの働き方も変革し、神奈川・横浜での地域を盛り上げている。